[目次]
編者序文
台湾引揚研究を俯瞰する 林 初梅 001
各地からの引揚者と台湾引揚者 所澤 潤 008
第1章 引揚の前夜─― 日台史料からみた台湾引揚者の戦後処遇 林 初梅 013
はじめに 013
一 台湾引揚者の概況 015
二 日僑管理委員会による日本人送還作業の流れ 017
三 日本人留用者子女の学校 024
四 各時期引揚の状況とその事例 030
おわりに 036
第2章 八重山と蘇澳・南方澳─― 石垣市『市民の戦時戦後体験記録』をひもとく 松田 良孝 043
はじめに 043
一 沖縄ではない石垣島・八重山 044
二 境域の引揚 047
三 石垣・八重山への台湾引揚 050
四 『市民の戦時戦後体験記録』 054
五 台湾側出発港の依存度比較 059
むすび 060
資料一 『市民の戦時戦後体験記録』が収集項目の参考事例として挙げている項目 061
資料二 沖縄への台湾引揚において、台湾のどの港を使用したかを分析する際に用いた記録の一覧 063
第3章 引揚を見送った台湾の人たち 所澤 潤 073
はじめに 073
一 引揚者がいた場? 076
二 見送った日本人を回想する 079
三 それぞれの再会 095
四 送り出した側の気持ち 103
五 二二八事件による台湾社会の変化、そして現在へ 106
おわりに 109
第4章 台湾における日本人引揚者雑誌『新聲』について 黄 英哲 113
一 日本人引揚者雑誌『新聲』 113
二 台湾における魯迅の受容 120
三 抄訳版「藤野先生」をめぐる議論 126
おわりに 135
第5章 『全国引揚者新聞』に見る台湾引揚者の戦後初期─― 戦前の経験をどう生かすか 顔 杏如 141
はじめに 141
一 『全国引揚者新聞』に関して 144
二 内容に見る戦後の関心 147
三 戦前の経験を生かす 149
結びに代えて 155
第6章 女性引揚者を可視化する─― 沖縄の台湾引揚者を中心に 野入 直美 163
はじめに 163
一 引揚体験の語りにおける偏り 165
二 見えにくい女性引揚者の階層性 168
三 試論―女性引揚者の職業移動分析 171
四 女性の就業の幅を狭めたもの―離島からの若年台湾渡航 175
五 台湾で働く沖縄女性にとっての〈自助〉、〈共助〉と〈公助〉 178
結びに代えて 182
第7章 台北帝国大学教授・楠井隆三の引揚と戦後 黄 紹恒 187
はじめに 187
一 台北帝大から離れる? 189
二 関西学院大学への就職 196
おわりに―台湾遥想 203
第8章 湾生・女性・スポーツ─― 溝口百合子と一九五四年マニラアジア大会 菅野 敦志 211
はじめに 211
一 台湾生まれの溝口百合子?―砲丸投げ・円盤投げで銅 213
二 師・児島文の「児島道場」での修行生活とアジア大会の出場権 216
三 スポーツと女子教育に生きた溝口百合子 219
四 一九五四年の大会にみる〝日本〟の爪痕―団長・田畑政治の証言 222
五 一九五四年『報告書』にみるフィリピン兵の〝克日〟エピソード 225
六 一九六三年に再登場する語り―「戦争責任の所在」から「鎮魂と再生」へ 227
むすびにかえて―戦後を生き抜いた「湾生」選手と帝国日本からの連続性の視座 230
第9章 植民地・引揚の記憶をめぐる日台の相互性─― 花蓮港中学校同窓生の事例から 石井 清輝 239
はじめに 239
一 花蓮港中学校と同窓会の概要 240
二 日本人同窓生の記憶の物語―植民地・戦争・引揚 242
三 台湾人同窓生・台湾社会の記憶の両義性―その同一性と異質性 251
四 台湾の「他者性」に向き合う日本人同窓生 255
おわりに 259
湾生が語る引揚体験─― インタビュー記録 269
あとがき 石井 清輝 308
執筆者紹介 315 |