著訳者紹介


*データは原則として刊行時のものです*

 

チェーザレ・ブランディ
Cesare Brandi

1906年シエナ生まれ。1988年没。 1939年ローマにあるイタリア政府の中央修復研究所を創設し、20年間その所長を務める。その後1961年よりパレルモ大学美術史教授、1967年よりローマ大学(現ローマ・ラ・サピエンツァ大学)現代美術史正教授となる。1958年から1986年まで新聞『コリエーレ・デッラ・セーサ』の文化欄に寄稿する。美術批評、美術史、美学、美術見聞旅行、あるいは文化遺産の保護に関する50冊余の著書、夥しい数の論文やエッセーを刊行する。1959年には美術批評活動の功績に対しアッカデミア・ナツィオナーレ・デイ・リンチェイよりフェルトリネッリ賞、1977年にはコンテンポラリー・アートに関する著述に対しヴィアレッジョ賞など受賞する。また、1960年にイタリアから文化功労ゴールド・メダルを授かり、フランス大使館からはオフィシエ・ド・ラカデミーに任命される。1951年からユネスコ機関(ICOM)の文化遺産保存修復関係のミッションを引き受けるとともに、文化遺産イタリア国内審議会芸術・歴史遺産委員会委員長などを歴任する。

 

[チェーザレ・ブランディの書籍一覧]

修復の理論

[著者]チェーザレ・ブランディ
[監訳者]小佐野重利
[訳者]池上英洋大竹秀実

修復の倫理哲学
修復家とは、「臨床医のように目はしが利き 外科医のように慎重で腕のたつ」(C.ブランディ)者である。
ブランディにとって、より本来的な意味での修復の目的は作品を原初の様相に戻すことではなく、原初の様相のうちで残っているものやそれが時の経過する中で蒙った変更に最大限の読み取りやすさと享受しやすさを取り戻させることであるから、[……]修復家は、職人でも芸術家でもなく常に歴史分野の専門の助けを仰ぎ指導を受けながら、このように複雑な職務をもっとも適切な形で完遂できるように「手わざの知恵」をそなえた教養ある「技術者」でなくてはならない[……]。 (G.バジーレ、序文より)
本書は修復の科学技術や技法を説くものではない。芸術作品や文化財の保存・修復が実行される以前、あらかじめ省察を必要とする理念を問題とする。
わが国でも高松塚古墳、キトラ古墳の保護・継承をめぐり議論が高まる中、参照すべき必携の書である。

[書評]
《朝日新聞》書評欄、2005年8月21日→記事を読む
《毎日新聞》書評欄、2005年9月12日、評者:富山太佳夫氏
《読売新聞》書評欄、2005年10月23日、評者:三浦篤氏
『美術の窓』2005年10月号(生活の友社)

定価=本体 3,000円+税
2005年6月30日/A5判並製/288頁/ISBN978-4-88303-159-7


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