美学
ジェンダーの視点から

[著者]キャロリン・コースマイヤー
[訳者]長野順子石田美紀伊藤政志

美学とは何か? 芸術とは何か? 「天才」がイメージさせるのはいかなる人物か? 「芸術」と「工芸」の境界とは? プラトンにまで遡る理論言説の小史をジェンダーという視点から振り返り、美をめぐるその思考のうちに暗黙裡に潜む、男性的/女性的という二項対立的な概念体系の伝統を批判的に解明。そして今、もはやそれら過去の規範では解釈しきれない現代アートについてどんな言葉で語りえるのか、フェミニスト・アートを具体例にみながら、美学の新たな可能性を探っていく。

[書評]
《Jan Jan》書評欄、2010年1月31日
《ふぇみん》書評欄、2010年4月5日号→記事を読む
《図書新聞》2010年4月17日号、評者:森谷宇一氏

定価=本体 2,700円+税
2009年12月20日/
四六判並製/320頁/ISBN978-4-88303-257-0


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[目次]
 
はじめに  013

 第1章 芸術家と芸術――概念小史  028
     1 概念的基盤  030
     2 芸術家という観念──古代の先例  036
          ミメーシス──イリュージョンと現実  040
          創造力をめぐるミューズ的思考  044
     3 芸術制作──個人と集団  048
     4 芸術と近代の芸術家概念  051
     5 天才  058
     6 芸術の表現理論  062
     7 まとめ  066

 第2章 美的快  069
     1 美的なもの  070
     2 趣味と美  074
     3 美に関するバークの理論  077
     4 カントの趣味判断論  080
     5 誰の趣味なのか?  084
     6 美的態度論  088
     7 美的知覚へのフェミニストの批判  092
     8 まとめ  101

 第3章 アマチュアとプロフェッショナル  103
     1 教育と訓練──誰が学ぶのか?  104
     2 音楽  107
          演奏  108
          作曲  113
          天才と主観性  116
     3 文学  120
          執筆と販売  125
          再び主観性について  128
     4 絵画  129
          見ること  131
          線遠近法  135
     5 過去を再評価する  141
     6 まとめ  143

 第4章 深層におけるジェンダー――味覚と食べ物  145
     1 五感  148
     2 感覚的快と美的快  153
     3 主観性と客観性  157
     4 味覚の擁護  162
     5 芸術と/のなかの/としての食べ物  166
          料理は芸術の一形態なのか?  166
          芸術のなかの食べ物  170
          芸術の素材としての食べ物  171
     6 まとめ  173

 第5章 芸術とは何か  175
     1 芸術の諸定義とその背景  183
     2 芸術と反芸術  188
     3 芸術制度論  191
     4 鏡としての芸術――アーサー・ダントー  194
     5 フェミニスト作品、そして芸術概念を変えること  197
          媒体とメッセージ――繊維と食べ物  199
     6 まとめ  211

 第6章 不穏な快──崇高とおぞましさ  213
     1 心身論再考  216
     2 再び崇高について  219
     3 リュス・イリガライ――性別のある主体性  231
     4 美的反応としてのおぞましさ  238
     5 おぞましさとアブジェクション――ジュリア・クリステヴァ  243
     6 おぞましさ――背景と両義性  248
     7 まとめ  251

 訳者あとがき  255
 掲載図版一覧  ii
 事項索引  iii
 人名索引  viii
 註  xii
 参考文献  xxxv


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