著訳者紹介


*データは原則として刊行時のものです*

 

ヴェルナー・ブッシュ
Werner Busch

1944年プラハ生まれ。テュービンゲン、フライブルク、ウィーン大学およびロンドンのウォーバーグ研究所にて美術史を修めたのち、1981年から1988年までボッフムのルアー大学で、また1988年から2010年までベルリン自由大学で美術史学教授を務める。C.H.Beck社より刊行された主な著作に“Das sentimentalische Bild”(『情感的絵画』)第二版1997年、“Caspar David Friedrich. Ästhetik und Religion“(『カスパー・ダーヴィド・フリードリヒ 美学と宗教』)第二版2008年、“Adolph Menzel. Auf der Suche nach der Wirklichkeit”(『アードルフ・メンツェル リアリティを求めて』)2015年、“Die Künstleranekdote 1760−1960”(『芸術家の逸話1760−1960』)2020年などがある。

 

[ヴェルナー・ブッシュの書籍一覧]

カスパー・ダーヴィト・フリードリヒ

[著者]ヴェルナー・ブッシュ
[訳者]杉山あかね

その風景画に宿るのは、神の秩序としての幾何学。
十九世紀初期、ドイツ近代絵画の幕開けを導いた画家フリードリヒの世界観はどのように形成され、作品に昇華したのか。素描から本画へと至る過程、ロマン主義の幾何学に立脚した画面構成の流儀を詳細に分析し、その信条と手法に深く迫る。

【電子書籍版もあります】

定価=本体 3,000円+税
2025年10月20日/A5判上製/184頁/ISBN978-4-88303-617-2

作品とコンテクスト
ライト《空気ポンプの実験》
科学と宗教の神聖同盟

[著者]ヴェルナー・ブッシュ
[訳者]神林恒道

産業革命と絵画表現
科学と宗教の架け橋としての
人工照明絵画

ライトの《空気ポンプの実験》は、18世紀の絵画を解き明かす鍵である。この絵の描写には、これを貫く三つの局面が指摘される。まず第一の局面において、この絵は手の込んだ実験のきわめて精確な再現描写である。第二の局面において、これは夜に行われた実験という、特殊な演出効果を狙った表現である。実験者は魔術師のように登場し、これに対する観衆のさまざまな反応が、綿密な表現で描きとめられている。第三の段階では、当時問題となった進歩への信頼と宗教の関係についてなされた、ことを分けての反省が示されている。この反省は同時にまた、芸術の歴史とその伝統的なフォルムとの対決でもあった。だが、そうした対決を乗り越えて進歩の問題に迫ろうとしたライトの姿勢は、この絵においても明らかである。またそれによって、この絵は18世紀の芸術言語の危機についての自覚の証ともなっているのである。

定価=本体 2,000円+税
2007年1月25日四六判並製/116頁+カラー折込図版/ISBN978-4-88303-195-5

※本書は、1994年に小社から刊行された同書のカバーデザインを新しくしたものです。


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