著訳者紹介


*データは原則として刊行時のものです*

 

日向太郎
ひゅうが・たろう

1965年神奈川県生まれ。1999年東京大学大学院人文社会系研究科欧米系文化研究専攻博士課程修了。1994-95年イタリア政府給費留学生、1994年から1996年までフィレンツェ大学文学部に在学。現在、東京大学、一橋大学、相首都大学などで非常勤講師。専門は西洋古典学。主要論文に「ウェルギリウス『アエネーイス』における造形芸術作品描写」(博士学位論文、1999年)。 (2006年8月現在)

 

日向太郎の書籍一覧]

ラオコーン
名声と様式

[著者]サルヴァトーレ・セッティス
[訳者]芳賀京子+日向太郎

発見から500年、この著名な古代彫刻をめぐり続けられてきた論争が、ここに決着する
「1506年の発見以来、死に瀕する人の苦痛をみごとに表現した古代の激情〈パトス〉の定型として熱烈な学問的な関心を集めてきた、ヴァチカンの有名な大理石彫刻《ラオコーン》。これに言及した唯一の古代文献、大プリニウス『博物誌』の記述との齟齬から、この彫刻をプリニウスの記述する彫刻とは別ものとする見解や、彫刻に特異な政治的なメッセージの衣を纏わせて、ロマンやスリルを好む読者の感興ばかりをそそる、今はやりの解釈などが出されてきた。
  著者セッティスは通念や恣意的解釈に真っ向から挑む。『博物誌』の記述に彼が加えた目から鱗の落ちる思いのする新解釈。『博物誌』の記す彫刻の作者たち―三人のロドス人彫刻家―の活動時期を碑文資料に基づく係累学的研究から絞込み、さらに様式的な検討を加えてこの彫刻をオリジナルと断言し、最終的に制作年代(紀元前40-20年頃)を割り出す手際のなんとあざやかなこと! この稀にみる好著は、比類なき知性の持ち主による積年の研究成果として、読者の知性を大いに満足させることであろう。」
――小佐野重利(東京大学美術史学教授)

[書評]
《読売新聞》「読書委員が選ぶ2006年ベスト3」、選者:青柳正規

定価=本体 5,000円+税
2006年8月25日/A5判上製/388頁+カラー口絵16頁/ISBN978-4-88303-155-9

HOME